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小網代の森 | 関東唯一の流域がまるごと残るアカテガニ等の希少種に出会える奇跡の森

小網代の森(撮影日:2020.08.06) 三浦
小網代の森(撮影日:2020.08.06)

小網代の森こあじろのもりは、三浦半島の南部にある、相模湾に面した約70haの自然豊かな森です。森の中央にある谷に沿って流れる「浦の川」の集水域として、森林・湿地・干潟・海までの流域が連続して残されていて、「奇跡の森」と呼ばれています。

小網代の森は、舗装路や建物などに分断されることなく、流域が自然のまま残されている、関東地方で唯一のとても貴重な自然環境です。

小網代の森では希少種を含む多くの生き物たちが、多様な生態系を形成しています。これまでに2,000種以上の生き物が確認され、絶滅危惧種も多数生息しています。
なかでも、生息のために森・川・海のつながりが必要なアカテガニなどのカニ類は、小網代の森の象徴のような存在と言え、60種前後を記録しています。
また、季節ごとに、ホタルアカテガニなどの観察会も開かれています。

主な入口は、上流から入ることができる引橋入口と、下流から入ることができる宮ノ前峠入口があります。トイレは宮ノ前峠入口のみにあります。
森の中は木道が整備されていて、その上を歩いて散策することができます。
散策路の途中には「やなぎテラス」「えのきテラス」「眺望テラス」の3ヵ所に木製のデッキが整備されていて、休憩をとることができます。

小網代の森にはもともと大規模な開発の計画がありましたが、このような貴重な自然を守るために神奈川県が土地を買い取り、三浦市やNPO団体とともに保全活動をしています。

小網代の森周辺マップ
小網代の森周辺マップ

小網代の森の周辺
横堀海岸 胴網海岸 荒井浜 三戸浜海岸

2024年のホタル観察のための夜間開放

2024年の小網代の森「ホタル観察」のための夜間開放は、以下の日程で行われます。

日にち 5月24日(金曜日)・25日(土曜日)・31日(金曜日)、6月1日(土曜日)
時間 18時から21時まで(最終入場 20時まで)
開放区間 引橋入口から宮ノ前峠入口まで(北尾根入口からの入場及び退場はできませ)

※駐車場は三浦市市民交流拠点駐車場が利用できますが(ベイシア三浦店駐車場は利用できません)、混雑のため入場時間に間に合わない可能性が考えるため、公共交通機関の利用を強くおすすめします。
※15時時点で、雷または大雨等の注意報以上が発令されている場合や、降雨が予想される場合は中止となります。
詳しくは以下の公式サイトをご覧ください。

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上流:コナラが生い茂る森を下る

小網代の森・コナラが生い茂る中央の谷(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・コナラが生い茂る中央の谷(撮影日:2020.08.06)

小網代の森引橋入口から入ると、しばらく、コナラが生い茂る林の中を木製の階段で下っていきます。足元にはシダ類の植物が多く見られます。
徐々に平坦になっていき、湿地帯を歩くようになります。足元には木道が整備されています。自然環境保護のため、木道を外れて湿地の中に入るのはやめましょう。

この遊歩道は、森の中央の谷を流れる「浦の川」に沿っていて、引橋入口から入るとこの源流から河口にある小網代湾までの集水域を歩いていくことになります。

小網代の森・中央の谷からまんなか湿地へ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・中央の谷からまんなか湿地へ(撮影日:2020.08.06)
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中流:湿地帯に広がるジャヤナギの林を歩く

小網代の森・やなぎテラス(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・やなぎテラス(撮影日:2020.08.06)

湿地帯をしばらく歩くと「やなぎテラス」に出ます。このあたりはジャヤナギが多く見られます。
ちょうど「やなぎテラス」を境にジャヤナギも少なくなってきて、これより河口側は開けた湿原の中を進んでいくようになります。

湿原では、季節によって、トンボチョウなどの昆虫も目につくようになっていきます。
初夏にホタルが多く見られるのは、「やなぎテラス」より下流の湿原になります。

小網代の森・まんなか湿地(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・まんなか湿地(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・まんなか湿地にいたシオカラトンボ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・まんなか湿地にいたシオカラトンボ(撮影日:2020.08.06)
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下流:オギやヨシの湿原から干潟に抜ける

小網代の森・えのきテラス(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・河口側から見たえのきテラス(撮影日:2020.08.06)

湿原の中を進んでいき、大きなエノキの木が木陰をつくる広場「えのきテラス」が見えてくると、干潟はもうすぐそこです。「えのきテラス」は全体がベンチのようになっていて、腰を掛けて休めるようになっています。
えのきテラス」周辺の湿原はオギヨシの群集になっていて、夏にはユリ科ハマカンゾウがキレイな黄色い花を咲かせます。

湿原を抜けると干潟が現われて、小網代湾に出ます。
干潟周辺では、アカテガニチゴガニなど、さまざまな種類のカニを見ることができます。

小網代の森・えのきテラスのまわりに咲くハマカンゾウ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・えのきテラスのまわりに咲くハマカンゾウ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・小網代湾へと続く干潟(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・小網代湾へと続く干潟(撮影日:2020.08.06)
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小網代の森の象徴とも言えるアカテガニ

小網代の森・アカテガニ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・アカテガニ(撮影日:2020.08.06)

普段、アカテガニは干潟ではなく陸地で生活しています。夏の満月や新月のころの大潮の夜になると、海まで出て、卵を産みます。

小網代の森では、ほぼすべての場所で木道か散策路のみしか自由に移動ができませんので、陸地でアカテガニを観察できる場所は限られています。
比較的観察がしやすい場所は、干潟の陸地との境あたりです。陸地に面した岩と岩の間に隠れている姿を、見ることができます。人の気配がするとすぐ隠れてしまいますので、静かに、根気強く、よーく観察していると、顔を見せてくれるかもしれません。

小網代の森・岩場に隠れるアカテガニ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・岩場に隠れるアカテガニ(撮影日:2020.08.06)
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アカテガニ以外にも多くの種類のカニが見られる

小網代の森・干潟のチゴガニ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・干潟のチゴガニ(撮影日:2020.08.06)

小網代の森では、アカテガニ以外にも多くの種類のカニを見ることができます。
陸地で生活するカニを見ることは難しいですが、干潟で生活するチゴガニなどは、比較的容易に観察することができます。
チゴガニはとても小さいため見つけにくいですが、干潟を注意深く観察すると見えてきます。くり返し白いハサミを振り上げる求愛ダンスは、とてもかわいらしいです。

小網代の森・干潟のヤマトオサガニ(撮影日:2017.06.18)
小網代の森・干潟のヤマトオサガニ(撮影日:2017.06.18)
小網代の森・岩場をうろつくクロベンケイガニ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・岩場をうろつくクロベンケイガニ(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・干潟のカニたち(撮影日:2020.08.06)
小網代の森・干潟のカニたち(撮影日:2020.08.06)

森林・湿地・干潟・海までが連続して残されているという奇跡の森

このページで使用している写真のほとんどは、ある夏の1日、それも実質3時間程度、に撮影したものです。小網代の森が、いかに多様性に富んだ流域であるかということが分かると思います。
もちろん、見られる植物や生物は季節によって異なります。

とはいえ、この「自然」も、手つかずの自然というわけではなく、人の手によって「保全」されているから成り立っているということも忘れてはなりません。
小網代の森の「自然」は、いわゆる「原生林」の「自然(wilderness)」ではなく、「天然林」または「二次林」に近い「自然(nature)」と言えます。

首都圏のいちばん外れにあるとは言え、都市化が進んだ地域と隣接している以上、何も手を施さなければ、植物や生物の外来種の侵入や周囲の開発による影響によって、生態系の破壊は避けられません。

首都圏にあって、森林・湿地・干潟・海までが連続して残されているという「奇跡の森」は、流域の生態系を一度に学ぶことができるとても貴重な環境です。また同時に、ガラス細工のように繊細で簡単に壊れてしまうものであると言うことを、「関東で唯一」という希少性が示していて、一度壊れてしまうと、人間の寿命よりずっと長いスパンで、もう二度と再生することはないという事実も語りかけてくれています。

無料で利用できる 小網代の森の駐車場

小網代の森駐車場(三浦市市民交流拠点駐車場)(撮影日:2021.12.29)
小網代の森駐車場(三浦市市民交流拠点駐車場)(撮影日:2021.12.29)

2021年12月現在、小網代の森引橋入口に近い、ベイシア三浦店に隣接する三浦市市民交流拠点駐車場を、小網代の森駐車場として利用することができます(開場時間 9:00~21:00、駐車料金 無料)。ベイシア三浦店の2階には「小網代の森インフォメーションスペース」があり、小網代の森についての情報を入手することができます。

三浦市市民交流拠点駐車場へは、国道134号を相模湾沿いに南下してきた場合、ベイシア三浦店の案内板にしたがって「小網代の森入口」交差点を左折すると入ることができます。

「小網代の森入口」交差点をベイシア三浦店方面に曲がる
小網代の森・駐車場への行き方-1

国道134号を相模湾沿いに三崎口駅方面から南下してきた場合、ベイシア三浦店の案内板にしたがって「小網代の森入口」交差点を左折します。反対に、三崎港方面、あるいは国道134号を三浦海岸方面からきた場合は、「小網代の森入口」交差点を右折します。
いずれも、小網代の森の引橋入口とは反対側に曲がる必要がありますので、ご注意ください。

すぐに右折後に、また右折
小網代の森・駐車場への行き方-3

小網代の森入口」交差点を曲がった後は、すぐに右折して(2021年12月現在、直進方面は工事中のため、右折しかできません)、またすぐに、右側に「三浦市市民交流拠点駐車場」という案内板が出ている先を右折します。
このまま、まっすぐ進むとベイシア三浦店の駐車場です。

「市民交流拠点駐車場」に入場
小網代の森・駐車場への行き方-4

三浦市市民交流拠点駐車場小網代の森駐車場)は、土日祝日を含めて無料で利用できますが、夜間は閉場されますのでご注意ください。

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油壺・諸磯のビーチ&海浜公園

小網代の森周辺の見どころ

引橋入口方面

宮ノ前峠入口方面

DATA

住所 三浦市三崎町小網代
アクセス
行き方

●引橋入口まで
京急久里浜線「三崎口駅」より徒歩約30分
または京急久里浜線「三崎口駅」より京急バス「三崎港方面」「城ヶ島」「油壺」行き『引橋』下車徒歩約5分

●宮ノ前峠入口まで
京急久里浜線「三崎口駅」より京急バス「油壺」行き、または、「屋志倉」行きで『シーボニア入口』下車徒歩約15分

駐車場 あり(無料)※引橋入口近くの「ベイシア三浦店」に隣接する「三浦市民交流センター」の駐車場が「小網代の森」の駐車場になっています。国道134号を相模湾沿いに南下して来た場合、「小網代の森入口」交差点を左折してください。
営業時間

4月~9月 7:00~18:00
10月~3月 7:00~17:00

料金

無料

電話番号 046-823-0210(神奈川県横須賀三浦地域県政総合センター みどり課)
ウェブサイト https://www.pref.kanagawa.jp/docs/d2t/kankyo/p820028.html
※このページに掲載している内容は、予告なく変更となっている場合があることをご了承ください。
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