十二所果樹園は、約400本の梅の木が植えられている、鎌倉最大の梅林です。そのほとんどが白梅で、白梅の名所として知られています。見ごろは、例年、2月下旬から3月中旬です。寺社を中心に数多くある鎌倉の梅の名所の中では、穴場と言える存在です。
梅の他にも、栗約200本、柚子約40本などが植栽されています。
十二所果樹園があるのは、北側を朝夷奈切通(朝比奈切通し)に隣接した、鎌倉市、横浜市、逗子市の市境にある丘陵地帯です。古くから、鎌倉や逗子などの相模湾方面と、金沢・六浦などの東京湾方面とを結ぶ古道が、このあたりを走っていたと考えられています。南側は池子の森と隣接しています。
十二所果樹園は、けっしてアクセスに恵まれた場所にあるわけではありませんが、その分、街なかでは味わえない里山の雰囲気が残されています。
朝夷奈切通・鎌倉口~十二所果樹園~熊野神社~朝夷奈切通~朝夷奈切通・鎌倉口といったような周回コースを、ハイキング/トレッキングするのもおすすめです。
INDEX
財団法人鎌倉風致保存会によって保全されている里山

十二所果樹園は、財団法人鎌倉風致保存会によって守られている緑地の一つです。
財団法人鎌倉風致保存会は、鶴岡八幡宮背後の山林「御谷」に宅地造成計画が持ち上がったときに反対運動が起こり、地元住民を中心に設立された団体で、「日本最初のナショナルトラスト団体」と言われています。この結果、集まった寄付金で御谷の山林1.5haを買収して、鶴岡八幡宮周辺の景観や自然環境は保全されることになりました。
後に「御谷騒動」と呼ばれるこの運動を契機に、鎌倉市では1966年(昭和41年)に「古都保存法」が制定されて、現在の古都・鎌倉の景観が保たれています。
十二所果樹園も、2006年(平成18年)に財団法人鎌倉風致保存会によって果樹園全体が買い上げられ、会員や市民のボランティアの手によって、一年を通して剪定や草刈りなどの保全活動が行われています。また、十二所果樹園で収穫された梅の実の即売会などを通した、啓蒙活動も行われています。




鎌倉で二番目に標高が高い展望台

一般的に鎌倉市で二番目に高い「山」は円覚寺の裏山にあたる標高147mの六国見山とされています。しかし、「山」ではありませんが、十二所果樹園の展望台(見晴台)は標高149mの場所にあり、こちらのほうがわずかに高いです。鎌倉市の最高峰は標高159mの大平山です。
気象条件が合えば、天園ハイキングコース(鎌倉アルプス)の稜線越しに、富士山を望むことができます。



十二所果樹園への行き方
十二所果樹園への行き方は、朝夷奈切通(朝比奈切通し)の鎌倉側から、京急逗子線の六浦駅・千光寺方面から、鎌倉逗子ハイランド・久木大池公園方面の、主に3通りあります。
朝夷奈切通(朝比奈切通し)の鎌倉側から

十二所果樹園へのもっともポピュラーな行き方は、朝夷奈切通(朝比奈切通し)の鎌倉側にある鎌倉五名水の一つ「梶原太刀洗水」近くの小さな滝(通称「三郎の滝」)がある分岐を、逗子方面(切通方面を見て右側)に向かって登って行くルートです。
しばらく、建設会社の資材置き場などのある道を進み、三郎の滝の分岐から10分ほど歩くと、十二所果樹園入口のゲートにたどり着きます。



六浦駅・千光寺方面から
六浦駅・千光寺方面と鎌倉逗子ハイランド・久木大池公園方面との間は、やまなみルートというハイキングコースで結ばれています。このルートは十二所果樹園を横切っていて、ちょうど中間地点にあたります。
六浦駅・千光寺方面から向かう場合、途中で熊野神社へ続く道と合流します。朝夷奈切通(朝比奈切通し)へ横浜・金沢側から入り、熊野神社を経由して十二所果樹園へ向かうこともできます。
鎌倉逗子ハイランド・久木大池公園方面から
十二所果樹園を通るやまなみルートは、ほぼ全域に渡って、片側を池子の森の米軍管理の立入禁止区域に隣接した場所を歩きます。池子の森の南西側(京急逗子線の神武寺駅近く)は池子の森自然公園として整備されていますが、こちらに直接通り抜けることはできません。
久木大池公園のすぐ近くには路線バスのバス停もありますので、十二所果樹園へはこちらを起点にアクセスするのもおすすめです。はじめだけ、急斜面を登る必要がありますが、その後は比較的ゆるやかな尾根道を歩いていけます。
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