坂ノ下海岸は、鎌倉・由比ヶ浜海岸の西側に続く海岸です。長谷より相模湾に注ぐ稲瀬川と稲村ヶ崎の間が坂ノ下海岸と呼ばれています。このうち、鎌倉海浜公園坂ノ下地区(三角地)を境に由比ヶ浜海岸側のおよそ400mが砂浜になっていて、稲村ヶ崎側は埋め立てによって護岸が続いています。
坂ノ下海岸と由比ヶ浜海岸を隔てる稲瀬川は、通常、水量が多くなく、砂浜を流れる河口部分はたいてい徒歩で横断できてしまいます。そのため、一般的に、坂ノ下海岸の砂浜部分は由比ヶ浜海岸の一部とみられる場合が多く、とくに観光案内などでは、自治体等の説明でも「坂ノ下海岸」という名称が積極的に使われることはあまりありません。
例年、坂ノ下海岸は、夏に由比ヶ浜海水浴場が開設される期間・時間帯、ソフトボードエリアに指定されます。ソフトボードエリアとは、リーシュコードを装着したうえで、ソフトサーフボード、ソフトニッパーボード、フィン付きボディボードをたのしめるエリアのことで、遠泳やその他の道具を使用したマリンスポーツはできません。
2024年海水浴場 | ○ 坂ノ下海岸は由比ヶ浜海水浴場 のソフトボードエリア ※以下は由比ヶ浜海水浴場としての情報 |
2024年海の家開設 | ○(16軒) |
公衆トイレ | ○(常設トイレ2ヵ所、仮設トイレ1ヵ所) |
主な施設・サービス | 公共シャワー(無料)3ヵ所 |
安心安全の取組み | 国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得 |
主な駐車場 | ○ 由比ガ浜地下駐車場 |
坂ノ下海岸は鎌倉の中心地からも近い、駅近のビーチです(江ノ電長谷駅より徒歩約5分)。由比ヶ浜海岸や材木座海岸は鎌倉駅から20分程度歩くことになりますので、気軽に広い砂浜に出てのんびりしたい場合におすすめです。

INDEX
古くからの漁村のような風景が残る坂ノ下の砂浜

坂ノ下海岸の砂浜には、漁船や漁具倉庫が並んでいる一角があります。これは、湘南漁業協同組合鎌倉支所(旧鎌倉漁業協同組合)の漁業者のものです。材木座海岸の一角にも、坂ノ下海岸と同じように、砂浜に漁船などが並ぶ漁業エリアがあります。
由比ヶ浜海水浴場のソフトボードエリアとなる期間も、坂ノ下海岸では漁船の出し入れを優先しなければならないルールがあります。
鎌倉の海岸では、古くから漁業が営まれてきました。毎年正月2日には、坂ノ下海岸と材木座海岸で、「船おろし」と呼ばれる伝統行事が行われています。「船おろし」は新年になって初めての船出の前に執り行われる儀式で、この一年の豊漁と安全を「船霊様(ふなだまさま)」という船を守る神様にお祈りします。
また、2か月に一度程度の割合で、原則第一日曜日(例外あり)に、朝市も開催されています。
藤沢に近い腰越漁港には漁港が整備されていますが、遠浅の砂浜が続く材木座・由比ヶ浜・坂ノ下海岸には漁港が整備されてきませんでした。
2031年度中をめどに、鎌倉海浜公園坂ノ下地区(三角地)前の海を埋め立てて、漁港を整備する計画があります。今、坂ノ下海岸で見られる古くからの漁村のような風景も、これが完成すると見られなくなります。

坂ノ下海岸を区切っていた稲瀬川と霊山ヶ崎

坂ノ下海岸と由比ヶ浜海岸の間に流れる稲瀬川は、鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」や軍記物語「源平盛衰記」などに古くから見られる川の名前で、この当時は鎌倉の内側と外側を隔てる場所だったようです。
反対側の、稲村ヶ崎から内陸に連なる山を、霊仙山と呼びます。そのため、坂ノ下海岸寄りの崖地を指して霊山ヶ崎と呼ばれることもありました。かつては海からすぐ断崖絶壁が迫っていたこの場所も、埋め立てなどの開発によって地形が変わったこともあり、霊山ヶ崎と呼ばれることはなくなりました。

鎌倉花火大会の絶好の穴場観覧スポット

鎌倉花火大会の打上会場は、鎌倉海岸(由比ヶ浜海岸・材木座海岸)と紹介されています。坂ノ下海岸は会場とされていませんが、弓なりに連なる海岸線の一部ですから、当然見られないわけがありません。
鎌倉の中心部から離れた坂ノ下海岸は、由比ヶ浜海岸や材木座海岸ほど場所取りで埋まる速度が速くないため、むしろ、絶好の穴場観覧スポットと言えます。
また、逗子海岸花火大会でも、大崎の陰に隠れるため水上花火は見られないことと、打ち上げ場所から距離が離れているという欠点はありますが、人込みを避けて観覧できる穴場スポットと言えます。
逗子海岸花火大会の場合は、できるだけ稲村ヶ崎寄りの遊歩道(稲村ヶ崎東側遊歩道)になっているあたりで見たほうが、大崎の影響を少しだけ減らすことができます。

坂ノ下海岸周辺の見どころ
由比ヶ浜海岸寄り


坂ノ下海岸沿い・長谷・坂ノ下




稲村ヶ崎寄り



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