東京湾フェリーは、三浦半島の久里浜港(横須賀市)と房総半島の金谷港(千葉県富津市)を結ぶカーフェリーです。東京湾の入口付近を、所要時間約40分で結んでいます。
東京湾フェリーのもっともポピュラーな使い方は、観光や物流などで神奈川県と南房総をショートカットするための利用です。(久里浜港から金谷港まで陸路では、クルマで東京湾アクアラインを経由して約2時間、電車のみの場合は4時間以上かかります)
東京湾フェリーは、東京湾でもっとも狭まっていて船の通航が過密な浦賀水道を横断する航路です。そのため、約40分と短い時間の航路ながら、東京湾を行き交う多くの船と出会います。
大型クルーズ船や米海軍、海上自衛隊などのレアな船舶が東京湾を出入りする際は、東京湾フェリーの船上からの観覧や写真撮影を狙う、通称「東京湾フェリーチャレンジ」のために乗船する人も多く見られます。
また、東京湾フェリーを使った自転車やバイクで東京湾一周のツーリングをたのしむ、通称「ワンイチ」も人気です。
東京湾フェリーでは、2023年11月25日土曜日より、ペリーが来航した際の黒船を模したラッピング施工のフェリーの運航が開始されます(初入港は11月23日木曜日です。天候の影響で直前に変更となりました)。
今回、黒船ラッピングが施される東京湾フェリーの「しらはま丸」(全長78.8m)と、ペリーが乗船していた「サスケハナ号」(全長78.3m)はほぼ同じ大きさのため、幕末の黒船来航の様子を現代に追体験することができます。
※今回、黒船ラッピングが施されるのは、東京湾フェリーで就航中の2隻のフェリーのうちの1隻のみです。
東京湾フェリーの三浦半島側の港である久里浜は、幕末にペリーが来航した際、米国大統領の親書の受け渡しが行われた場所です。東京湾フェリー久里浜港の近くには、このペリー上陸の史実を記念したペリー上陸記念碑やペリー記念館などがあります。また、毎年夏には「久里浜ペリー祭」が開かれ、夜には久里浜海岸で花火大会も行われています。

東京湾フェリーには、相手港で下船できないことを条件に、格安に乗船することができる「遊覧割引」(1往復約90分。車などでの乗船は不可)があります。この遊覧割引を使うことで、気軽に東京湾クルーズをたのしむことができます。
例年夏には、この遊覧割引に飲食のサービスなどがセットになった船上ビアガーデン「サンセットクルーズ」といったイベントも開催されています。

INDEX
東京湾フェリーは朝日や夕日の隠れた名所

東京湾フェリーの船上からは朝日や夕日をキレイに見ることができるため、朝日や夕日の隠れた名所でもあります。日の出や日の入りの方角は季節によって異なりますが朝日は鋸山などの房総半島の山々から登り、夕日は富士山などの三浦半島越しの箱根や伊豆半島方面の山々に沈むのを見ることができます。



東京湾フェリーの船舶
東京湾フェリーでは、通常、「しらはま丸」と「かなや丸」の2隻で運航しています。定期検査等によりどちらかの船がドック入りしている際は、通常は約1時間おきに出航するダイヤが約2時間おきになるドックダイヤで運航されます。
しらはま丸
東京湾フェリー「しらはま丸」は、1989年に就航した、全長:78.8m、総トン数:3,351t、旅客定員:680名、車両積載台数:乗用車のみで最大105台積載可能な、カーフェリーです。
船内には、通常の客席の他、追加料金で利用可能なグリーン室、売店・スナックコーナーなどがあります。
「しらはま丸」は、現在、東京湾フェリーが就航している久里浜港のお隣りにあった、旧住友重機械工業浦賀工場(通称:浦賀ドック)で建造されました。この浦賀ドックが閉鎖される直前、最後に入渠した船が「しらはま丸」でした。現在も浦賀ドックの底には、このとき「しらはま丸」を支えていた配置のまま、盤木(ドックから水を抜いた後に船底を支えるための台)が残されています。




かなや丸
東京湾フェリー「かなや丸」は、1992年に就航した、全長:79.0m、総トン数:3,380t、旅客定員:680名、車両積載台数:乗用車のみで最大105台積載可能な、カーフェリーです。
船の大きさも、船内の設備も、「しらはま丸」とほぼ同じです。

くりはま丸(退役済み)
東京湾フェリーは、最盛期には、「しらはま丸」「かなや丸」に「くりはま丸」を加えた3隻態勢で運航していました。しかし、東京湾アクアラインの開通と普通車のETC料金値下げによる利用者の減少によって、2010年に「くりはま丸」は東京湾フェリーから退役しました。

久里浜港フェリーターミナル(久里浜港のりば)
久里浜港フェリーターミナル(久里浜港のりば)周辺の見どころ




