横須賀の桜の名所と言えば、古くからお花見スポットとして有名な衣笠山公園や塚山公園などが定番です。2022年から通年で一般開放された走水水源地公園も、横須賀を代表する桜の名所の一つです。
桜のイメージがあまりないくりはま花の国や、街中の公園としては三浦半島でも最大規模の桜が植えられている根岸交通公園やはまゆう公園などは、比較的穴場のお花見スポットと言えるでしょう。
これらの横須賀を代表する桜の名所ではソメイヨシノを多く見られますが、衣笠城跡や千代ヶ崎砲台跡、観音崎公園など、白っぽい花を咲かせるオオシマザクラが見られるお花見スポットも多くあります。派手さはありませんが、オオシマザクラは古くから三浦半島に自生している桜で、横須賀市の「市の花」に指定されています。
横須賀ならではのお花見スポットとして見逃せないのは、普段は入ることができない米軍基地や自衛隊の施設が一般開放されることです。これらの施設は、その特性上、世界情勢の悪化などの理由で急きょ中止となる場合もあります。ここでは、そのようなイベント開催情報もあわせてご紹介します。
三浦半島の桜と言えば、早咲きの河津桜の名所として有名な三浦海岸で2月上旬から3月上旬ごろにひと足早く見ごろを迎えますが、ソメイヨシノやオオシマザクラなどは首都圏の標準的な見ごろと一緒で、3月下旬から4月上旬にかけてになります。
この特集では、横須賀の定番や穴場のお花見スポットを、お座敷スタイルやお散歩、ドライブなど、特徴別に22ヵ所ご紹介しています。ぜひ、お好みに合った場所を探して、横須賀らしい桜の季節をお楽しみください。
横須賀は、中世からお花見の名所として親しまれていました。
鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」によると、建保三年(1215年)3月5日の条に、北条義時らをお供に、鎌倉幕府第3代将軍(鎌倉殿)源実朝が横須賀へお花見に訪れて、三浦義村一族がもてなしたそうです。桜のお花見なのか、梅のお花見なのか、この記事だけでは判断できませんが、西暦では4月5日に当たるため、桜である可能性が高いです。
なお、ここに登場する「横須賀」が、歴史上の史料に現われる「横須賀」という地名の初見とされています。
マップは、スマートフォンやタブレットでは二本指で操作できます。
INDEX
お座敷スタイルのお花見に最適な桜の定番スポット
走水水源地公園
走水水源地公園は、横須賀の古くて新しい桜の名所です。走水水源地の桜並木がある芝生広場は、桜の開花時期に限定して一般開放されてきましたが、公園として整備されて、2022年2月から通年開放(8:00~17:00)されるようになりました。
走水海岸に面した走水水源地公園では、海沿いの桜並木という、ありそうでなかなかないシチュエーションを楽しめます。
走水水源地は、幕末から明治初期にかけて、横須賀製鉄所で使用するための水源地として、フランス人技師・ヴェルニーによって建設されました。当時最先端の技術が使われていて、現存する煉瓦造やコンクリート造の貯水池は国登録有形文化財に指定されています。
●住所
横須賀市走水1-88-1
●入園料
無料
●駐車場
あり(有料)
●公共交通機関
徒歩の場合
京急線「馬堀海岸駅」より徒歩約20分
バス利用の場合
京急線「横須賀中央駅」「馬堀海岸駅」などから、京急バス「観音崎(走水経由)」行きで『伊勢町』下車
![走水水源地公園・2022年2月から一般開放された芝生広場(撮影日:2022.03.28)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2022/03/5b7eab2866b47a5be4bc6f00f86c6636-1200x800.jpg)
衣笠山公園
2024年の「第72回衣笠さくら祭」は、衣笠山公園で、3月28日木曜日から4月8日月曜日まで開催が予定されています。4月7日日曜日までの18時から20時は、ライトアップも行われます。
衣笠山公園は、「日本さくらの名所100選」や「かながわ花の名所100選」にも選ばれている、三浦半島でも屈指の桜の名所です。1907年(明治40年)に日露戦争の戦没者を慰霊するために植えられた桜は、後に山全域に広がり、現在では約2,000本の木が植えられています。
例年、桜が見ごろの時期には「衣笠さくら祭」が開催されて、夜はライトアップも実施されます。
衣笠山公園は、三浦半島最高峰・大楠山の登山口の一つになっていますので、お花見をハイキングのプランに組み込むのも良いかもしれません。
●住所
横須賀市小矢部4-922
●入園料
無料
●駐車場
なし ※衣笠山公園には駐車場はありますが、桜のシーズンは利用できません。
●公共交通機関
衣笠山公園の入口まで
徒歩の場合
JR横須賀線「衣笠駅」より徒歩約20分
バス利用の場合
京急線「横須賀中央駅」から、京急バス「三崎口駅」行きなどの「長井」方面行きで『衣笠山公園』下車、徒歩約10分
塚山公園
2024年の「第77回塚山公園さくら祭」は、3月23日土曜日から4月8日月曜日まで開催が予定されています。各日21時までは「夜ざくら会」と題して、夜桜を楽しめます。最終日の4月8日月曜日には、「三浦按針祭観桜会式典」が開催されます。
衣笠山公園と並んで横須賀で古くから桜の名所として親しまれているのが、塚山公園です。
公園内には国指定史跡の三浦按針夫妻の供養塔があり、例年4月上旬には「三浦按針観桜会」が開かれています。三浦按針(ウィリアム・アダムス)は、2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の主人公・徳川家康(演・松本潤)の外交顧問として活躍した人物で、塚山公園からも近い、現在の横須賀市逸見が領地でした。
塚山公園は、江戸時代の三浦半島における主要幹線だった浦賀道最大の難所・十三峠がすぐ近くにあり、眺望が良い場所からは東京湾が見渡せます。満開の桜の木といっしょに、横須賀港(吉倉桟橋)に停泊している自衛隊の艦船を上から見下ろすように眺められるのは、塚山公園ならではの光景です。
●住所
横須賀市西逸見、山中町、長浦町
●入園料
無料
●駐車場
なし
●公共交通機関
京急線「安針塚駅」より徒歩約20分、または「逸見駅」より徒歩約25分
![県立塚山公園展望デッキより海上自衛隊吉倉桟橋を望む(撮影日:2016.4.11)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2017/05/5a3e51ab39dc8aa29ec7b7f7294920f1-1200x800.jpg)
根岸交通公園
2024年3月23日土曜日に、根岸交通公園と隣接する根岸第三公園で開催が予定されていた「第26回北久里浜桜まつり」は、悪天候が予想されるため、中止となりました。
根岸交通公園は京急線の北久里浜駅の近くにある、小さな子どもたちのための教習所のような公園です。実際の街中と同じように、道路や標識、信号などが再現されていて、公園で借りた自転車などに乗って、子どもたちが交通ルールを学ぶことができます。(休園日や個人利用できない場合あり。※詳細ページ参照)
根岸交通公園に再現された「まち」には、桜の木がふんだんに植えられていて、北久里浜エリアを代表するお花見スポットになっています。
また、街中の公園としては、三浦半島で最大規模のお花見スポットです。
●住所
横須賀市根岸3-17-1
●入園料
無料
●駐車場
なし
●公共交通機関
京急久里浜線「北久里浜駅」より徒歩約7分
![根岸交通公園(撮影日:2023.04.03)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2023/04/0e2a1464612a0a37a9f6e742f07413af-1200x800.jpg)
船越南郷公園
2024年の「第63回船越南郷公園桜まつり」は、3月16日土曜日から4月6日土曜日まで開催が予定されています。各日17時から21時まではボンボリが点灯されて、桜がライトアップされます。
船越南郷公園は、京急田浦駅のすぐ裏手にある小さな公園です。横須賀や三浦の桜の名所は駅から離れた場所に多いですが、船越南郷公園は駅から徒歩約3分です。桜の木の数もそれほど多くはなく、公園の規模も大きいわけではないのですが、貴重な駅近のお花見スポットです。
船越南郷公園の近くには鷹取山ハイキングコースの入口の一つがありますので、桜の季節に鷹取山へ登るのならば、行きか帰りに目的地として入れることをオススメします。
●住所
横須賀市船越町4-6
●入園料
無料
●駐車場
なし
●公共交通機関
京急線「京急田浦駅」より徒歩約3分
横須賀市の「市の花」オオシマザクラが多い史跡の桜スポット
衣笠城跡(衣笠城址)
衣笠山公園と道路(久里浜田浦線)を挟んで隣接する衣笠城址(衣笠城跡)も、桜の名所として知られています。
「衣笠さくら祭」の開催される衣笠山公園の桜はソメイヨシノが多いですが、衣笠城址の桜はオオシマザクラが中心です。派手さはありませんが、それほど混雑することもなく、横須賀でオオシマザクラを多く見られる代表的な場所の一つです。
●住所
横須賀市衣笠町
●料金
無料
●駐車場
なし
●公共交通機関
徒歩の場合
JR横須賀線「衣笠駅」から衣笠山公園経由で、徒歩約45分
バス利用の場合
・JR横須賀線「衣笠駅」から徒歩約6分の「衣笠十字路」バス停、または、京急線「横須賀中央駅」より
京急バス「長井」行き、「三崎口駅」行き、「横須賀市民病院」行き等の林方面行きにて『衣笠城址』下車、徒歩約20分
![衣笠城址・桜の季節-2(撮影日:2021.03.25)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2021/12/1d5543469a35d13cd33b468638311944-1200x800.jpg)
周辺の見どころ
大善寺
千代ヶ崎砲台跡
2024年の「千代ヶ崎砲台跡さくらまつり」は、3月20日水曜日(祝日)から29日金曜日まで開催が予定されています。千代ヶ崎砲台跡へは、通常は土日祝日しか入ることができませんが、2024年の「千代ヶ崎砲台跡さくらまつり」は平日も特別開場されます。
千代ヶ崎砲台跡は、2021年10月から土日祝日限定で一般公開が開始された戦争遺跡で、国の史跡に指定されています。2024年の春は、一般公開後3度目の桜のシーズンです。そのため、まだまだ穴場の、隠れたお花見スポットと言えます。
レンガ積みの砲台跡の上に咲く桜など、他の桜の名所とは一味も二味も違う雰囲気のなかで桜を楽しむことができます。
●住所
横須賀市西浦賀6-17-1
●料金
無料
●駐車場
あり
●公共交通機関
京急線「浦賀駅」より京急バス「千代ヶ崎経由京急久里浜駅」行き、または京急久里浜線「京急久里浜駅」より京急バス「千代ヶ崎経由浦賀駅」行きで、『燈明堂入口』下車徒歩約15分
![千代ヶ崎砲台跡・海側の桜並木-1(撮影日:2022.04.09)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2022/04/2ce491d149bd3c81c27b3a115b5bee9e-1200x800.jpg)
周辺の見どころ
燈明堂跡&燈明堂海岸
観音崎公園
神奈川県最大の県立公園である観音崎公園は、磯遊びやバーベキューなど、海でのアクテビティが人気です。観音崎公園は、横須賀有数の花の名所でもあります。
広々とした芝生広場のある花の広場では、河津桜や陽光桜、オオシマザクラなど、さまざまな種類の桜の開花リレーを楽しめます。オオシマザクラは、観音崎公園の山中に点在する砲台跡の周辺でも多く見ることができます。
●住所
横須賀市鴨居4-1120
●入園料
無料
●駐車場
あり(有料)
※第1~第5駐車場とBEACH PARK LIVING駐車場(旧第6駐車場)があり、たたら浜沿いのBEACH PARK LIVING駐車場を除いて、時期により無料。
※県立観音崎公園としての駐車場ではありませんが、鴨居3丁目公園側の花の広場隣接地にもあり。
●公共交通機関
京急線「横須賀中央駅」「馬堀海岸駅」「浦賀駅」またはJR横須賀線「横須賀駅」より京急バス『観音崎』行きで終点まで
または、京急線「浦賀駅」より京急バス「観音崎」行きで『堀田』下車
※花の広場までは、「堀田」バス停より徒歩約10分、「観音崎」バス停より徒歩約15~20分です。
![県立観音崎公園・花の広場の河津桜を鴨居3丁目の入口付近より広場中央方面を望む(撮影日:2024.02.16)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2024/02/9614270d2572feb1bb56cc7ea2bea994-1200x800.jpg)
![県立観音崎公園・花の広場(オオシマザクラ)(撮影日:2023.03.29)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2023/03/d0e14debd04a466358c8c0e84c269cdd-1200x800.jpg)