長年に渡って葉山の総鎮守として親しまれている森戸大明神(森戸神社)は、源頼朝ゆかりの神社です。頼朝にまつわる言い伝えも多く残っています。
森戸海岸のすぐ隣にあるため、境内から「みそぎ橋」を渡ってすぐ浜辺に出ることができます。
主祭神 | 大山祗命 事代主命 |
旧社格等 | 旧郷社 |
創建 | 1180年(治承4年) |
祭礼 | 1月2日 歳旦祭 3月中旬 祈年祭 6月16日 大漁祭【潮神楽】 9月7日 宵宮祭・9月8日 例大祭 11月中旬 新嘗祭 ※実際の日にちは年によって異なる場合があります |
海に面した境内の裏手や森戸海岸からは、江の島や天候が良ければ富士山もキレイに見えます。とくに夕暮れ時の美しさは格別で、「森戸の夕照」として「かながわの景勝50選」に選ばれています。
また、「かながわの名木100選」の飛柏槇、「かながわの橋100選」のみそぎ橋、海沿いに数多く残る石碑など、葉山の総鎮守にふさわしく、見どころにあふれています。
INDEX
源頼朝が創建した神社
伊豆で流罪の身となっていた源頼朝は、流刑地にほど近い場所にあった三嶋明神(三嶋大社)を深く信仰し、源氏再興を祈願していました。
旗揚げに成功して鎌倉に入った頼朝は、鎌倉に近いこの地に三嶋明神の分霊を歓請しました。
頼朝はこの地に別邸を建てて、その後もことあるごとに森戸大明神を参拝しました。
鎌倉時代には、沖合に浮かぶ赤い鳥居が建つ名島(菜島)まで地続きで、頼朝の別邸もこの間にあったと言われています。
葉山の別荘地としてのルーツは、源頼朝までさかのぼることができると言えるのかもしれません。
飛柏槇(ひびゃくしん)
御神木となっているビャクシンは樹齢約800年と言われていて、頼朝が参拝した際に三嶋明神から飛来して発芽したものと伝わるもので、飛柏槇と呼ばれています。
森戸川河口の森戸海岸側やみそぎ橋からは、境内より海に突き出たそのめずらしい姿を見ることができます。この飛柏槇は、「かながわの名木100選」と葉山町指定天然記念物に指定されています。
千貫松(せんがんまつ)
境内裏の海にそびえる岩の上に立つ松は千貫松と呼ばれていて、頼朝が三浦氏の本拠地であった衣笠城に向かう途中に立ち寄った際に「如何にも珍しき松」と褒めたところ、出迎えた三浦一族の和田義盛が「我等はこれを千貫の値ありとて千貫松と呼びて候」と答えたと言われていることに由来しています。
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朱色の欄干が海や青空に映える みそぎ橋
森戸海岸は、鎌倉時代に七瀬祓の霊所(鎌倉の七瀬)の一つに数えられていて、災厄が生じると加持祈祷が行われていました。このような場所であったため「みそぎ(禊)」も頻繁に行われていて、境内から森戸川を渡って森戸海岸に続く橋を「みそぎ橋」と呼ぶようになったと伝えらえています。
このような歴史もあり、森戸大明神は、パワースポットとしても知られています。
鎌倉の七瀬とは、由比濱・金洗澤・固瀨河・六連・柚河・杜戸・江嶋龍穴を指します。それぞれ現在の、由比ヶ浜・七里ヶ浜・片瀬川・六浦・いたち川・森戸・江の島岩屋にあたります。
中世の鎌倉では、鎌倉の内部にあたる場所ではなく、鎌倉の周囲に配されていました。
災厄が生じると、この7か所の神聖な海や河川でお祓いが行われ、重要な場所と位置付けられていました。
朱色の欄干が海や青空に映えるみそぎ橋は、「かながわの橋100選」に選ばれています。
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刻々と表情を変える姿がどれも美しい 森戸の夕照
境内の裏からは海の眺望が素晴らしく、葉山灯台(裕次郎灯台)や赤い鳥居が目印の名島(菜島)、江の島といった、相模湾の代表的なランドマークのいくつかを一望することができます。
さらに、天候が良ければその背後には富士山も見えて、三浦半島の西側に位置する葉山らしい景色をたのしむことができます。
そんな風景を眺めるのにとくにオススメなのは夕暮れ時で、海や空が黄金色に輝く姿に、夜のとばりが徐々に降りてくる様子は、まさに絶景です。
この素晴らしい景観は、「森戸の夕照」として「かながわの景勝50選」の一つに選ばれています。
赤い鳥居が目印の名島(菜島)には竜宮様が祀られています。
竜宮様は、航海の安全と豊漁をお祈りする海の神様で、古くから漁師さんをはじめとした地域の人たちから信仰を集めてきました。
名島の他にも、葉山の海には、一色海岸・小磯の鼻横の小島や長者ヶ崎の磯にも竜宮様(龍宮様)が祀られていて、毎年1月11日に神事が行われます。
また、森戸大明神(森戸神社)で毎年6月に行われる「潮神楽」では、5年に一度の大祭のときに、名島に渡って竜宮様にお参りする「乙姫様竜宮参り」が行われます。
古今の歴史がつまった海沿いの石碑たち
葉山ゆかりの著名人は少なくありませんが、その一端を、境内の駐車場奥の海沿いに並ぶ石碑で確認することができます。葉山の歴史を物語るような、そうそうたる顔ぶれの石碑が並んでいます。
源頼朝公別墅跡 | この地に源頼朝が別邸を建てたことから記念碑が建てられています。 |
明治天皇御製 照憲皇太后御歌 | 明治天皇と照憲皇太后が、葉山・森戸について詠まれた歌の歌碑です。 |
マルチィーノ公使・ベルツ博士 顕彰碑 | イタリアのマルチィーノ日本駐在公使やドイツ人医師のベルツ博士は、葉山が保養地に適していることに着目して、日本人にも進めました。ベルツ博士は、葉山に御用邸を造ることを皇室に進言したことでも知られています。 |
大正天皇即位の大典記念碑 | 大正天皇の即位を記念して建てられた記念碑です。 |
高橋是清 歌碑 | 葉山に別邸を設けていた高橋是清の歌碑です。 |
昭和天皇即位の大典記念碑 | 昭和天皇の即位50年を記念して建てられた記念碑です。 |
堀口大學 詩碑 | 晩年を葉山で過ごした堀口大學の詩碑です。堀口大學は葉山町歌を作詞し、葉山町の名誉町民にもなっています。 |
石原裕次郎 記念碑 | 初主演作が葉山で撮影されたなど縁のある、俳優・石原裕次郎の記念碑です。自身の名前が愛称となっている「裕次郎灯台(葉山灯台)」を望む場所に建てられています。 |
葉山灯台や名島まで続く境内裏の岩礁
森戸大明神(森戸神社)境内の裏の海岸へは、駐車場のいちばん奥から階段で降りられるようになっています。
境内が岬にある森戸大明神は、隣りの森戸海岸とは違い砂浜の海岸ではなく磯が続く海岸です。沖合に建つ、葉山灯台(裕次郎灯台)や赤い鳥居が建つ名島(菜島)まで、点々と岩礁が続いています。
境内の裏の海岸を森戸海岸とは反対側にあたる南側にまわり込むと、海岸線沿いの岸壁を伝って真名瀬海岸まで歩いて行けるようになっています。
潮が満ちているときや波が高いときは危険ですので、くれぐれも無理はしないようにしてください。
森戸大明神(森戸神社)境内の裏から真名瀬海岸に続く海岸線はとても狭いため、反対側から人が来ると、途中ですれ違うことができない恐れがあります。地元の人たちは、散歩コースにしていることが少なくありません。
もし、そのような状況になった場合は、ちょうど中間地点に陸側から海へ降りてこられる階段があり、そこで退避することができますので、道を譲り合いましょう。
森戸大明神(森戸神社)周辺の見どころ
森戸大明神(森戸神社)のまわりには徒歩圏内に見どころが多くあり、併設されている駐車場(コインパーキング)に車を停めたままぶらぶら散策するのもオススメです。