走水水源地公園は、横須賀水道発祥の地である走水水源地(現在の横須賀市水道局走水水源地管理センター)の周辺に整備された公園です。横須賀でも有数の桜の名所として知られています。
走水水源地は横須賀市内唯一の水源地であり、水源地を造ったヴェルニーにちなんで「ヴェルニーの水」と名付けられた湧水は、24時間・無料で利用することができます。
東京湾の眺望も素晴らしく、かつては海水浴場も開設されていた走水海岸が目の前にあります。走水海岸の砂浜へは、公園駐車場付近から出入りすることができます。
現在では桜の名所や名水「ヴェルニーの水」で知られる走水水源地公園は、1902年(明治35年)に完成した煉瓦造貯水池と1908年(明治41年)に完成した鉄筋コンクリート造浄水池という2つの国登録有形文化財を有する、日本近代化の歴史がつまった場所でもあります。
INDEX
走水水源地公園は横須賀有数の桜の名所
例年、桜の開花時期に多くのお花見客でにぎわう芝生広場は、東京湾に面した走水海岸沿いにあります。海に向かって緩やかに傾斜している芝生広場は、海を眺めながらお花見をするのには最高の場所です。
走水水源地公園は、海に面した桜並木という、三浦半島でもありそうでなかなかないロケーションをたのしむことができる場所です。
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2022年2月から通年で開放されるようになった芝生広場
桜並木がある芝生広場は、例年、桜が開花する時期のみ「桜の散策 走水水源地」として一般開放されてきましたが、2022年2月15日火曜日から、通年(開放時間 8:00~17:00)で開放されるようになりました。
走水水源地公園の入口は、これまで桜の開花時期に合わせて開放されてきたときは駐車場側だけでしたが、国道16号沿いの馬堀海岸側と公園中央付近にも新設されました。
走水水源地は横須賀水道発祥の地
走水水源地は、幕末に横須賀製鉄所(後に、横須賀造船所を経て、横須賀海軍工廠になる)を建設したフランス人技師・ヴェルニーが、横須賀製鉄所(走水水源地建設当時は、横須賀造船所)で使用するための水源地として築造して、1876年(明治9年)に完成しました。
走水水道や横須賀軍港水道と呼ばれ、後に旧日本海軍専用となったこの水道は、1908年(明治41)より市営水道として現在の横須賀中央駅周辺の一部地域で横須賀市民も利用するようになりました。大正時代になって、海軍が新たに相模川の支流である中津川を水源とする横須賀水道(半原系統)を完成させると、走水水源地や走水水道は横須賀市に無償貸与されるようになり、本格的に市内に上水道が普及していくことになります。
日本近代化の歴史が見られる2つの国登録有形文化財
走水水源地の築造初期は日本の近代化の黎明期であり、当時最新の技術が使われました。現在も走水水源地に残るこれらの建造物は、国の登録有形文化財に登録されています。
1902年(明治35年)に完成した煉瓦造貯水池と1908年(明治41年)に完成した鉄筋コンクリート造浄水池は、建設した年に6年しか差がありませんが、レンガ造から鉄筋コンクリート造へと大きく変わり、この時期に日本は急速な技術の進歩があったことが分かります。
一方で、丸窓を一列に配したデザインには共通性が見られるのもおもしろいです。
横須賀市水道局走水水源地煉瓦造貯水池
走水水源地の第1期拡張工事で建設された、上屋付き煉瓦造貯水池です。1902年(明治35年)に完成しました。横須賀鎮守府経理部建築科の海軍技師・井川喜久蔵、堀池好之助らが担当しました。
走水水源地公園から国道16号を挟んだ山側にあり、外観を見学することができます。国道16号に面した正面で埋め込まれている箇所は、出入口や丸窓があった部分です。
横須賀市水道局走水水源地鉄筋コンクリート造浄水池
走水水源地の第2期拡張工事で建設された、上屋付き鉄筋コンクリート造浄水池です。1908年(明治41年)に完成しました。日本最初期の鉄筋コンクリート造の建造物の一つです。設計は海軍技師・伊藤誠吉とされています。
走水水源地公園の一般開放されていないエリアにありますが、駐車場からも外観を見ることができます。
走水水源地の湧水「ヴェルニーの水」
走水水源地公園の駐車場の一角では、走水水源地の湧水「ヴェルニーの水」を無料で利用することができるようになっています。この湧水はミネラル分を豊富に含んだ中硬水で、地元ではおいしいことで有名な名水です。
駐車場には、大きなペットボトルを片手に、「ヴェルニーの水」を汲み取りに来た人たちが代わる代わる訪れます。「ヴェルニーの水」は原則24時間利用することができますが、夜間は駐車場が閉鎖されます。
現在では、横須賀市の水道は相模川やその支流である中津川などをメインの水源としていますが、市内唯一の水源である走水水源地は、災害時用の応急給水拠点としての機能も持っています。
日本遺産「鎮守府横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成文化財
走水水源地の煉瓦造貯水池と鉄筋コンクリート造浄水池は、日本遺産「鎮守府横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成文化財になっています。
横須賀市にある、その他の構成文化財をいくつかご紹介します。
海上自衛隊横須賀地方総監部田戸台分庁舎(旧横須賀鎮守府司令長官官舎)
逸見波止場衛門
東京湾要塞跡
猿島砲台跡
千代ヶ崎砲台跡
観音崎・走水地区の砲台群
観音崎砲台跡
走水低砲台跡
東京湾第三海堡構造物(兵舎・観測所・探照灯・砲側庫)
スチームハンマー(旧横須賀製鉄所設置)
米海軍横須賀基地1号~6号ドック(旧横須賀造船所第一号~第六号船渠)
記念艦三笠(海上自衛隊横須賀地方総監部 旧三笠艦保存所)
走水水源地公園周辺の見どころ
観音崎方面
馬堀海岸方面
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