若宮大路は、1182年(寿永元年)に源頼朝が鎌倉のまちづくりの一環として、平安京の朱雀大路を参考に築いた、鶴岡八幡宮の参道です。鎌倉幕府によって鎌倉のまちが碁盤の目となるように築かれた南北3本・東西3本の大通り「鎌倉六大路」の、中軸を成す道路でもあります。鶴岡八幡宮から鎌倉の中心を南北に貫くように、由比ヶ浜まで一直線に続いています。
若宮大路は約1.8kmに及び、「日本の道100選」に選ばれています。名実ともに、現在も鎌倉のメインストリートと言える大通りです。
鎌倉駅近くの「二の鳥居」から鶴岡八幡宮の境内入口に建つ「三の鳥居」までは桜並木になっていて、若宮大路は鎌倉を代表する桜の名所でもあります。
若宮大路 は現在も鎌倉のメインストリート
途中には三つの大きな鳥居がかかっていて、由比ヶ浜側から「一の鳥居」「二の鳥居」「三の鳥居」と言います。鎌倉駅近くの若宮大路に建つ鳥居が「二の鳥居」で、現在の鶴岡八幡宮の境内の入口に建つ鳥居が「三の鳥居」です。
若宮大路には、左手(西側)に小町通り、右手(東側)に小町大路がすぐ近くを走っていて、それぞれ異なる雰囲気を出しているのですが、どれも「鎌倉」をイメージするものであるから不思議です。
小町通りは比較的新しい道で、比較的小規模な土産物や飲食のお店が並ぶ道です。通り自体が観光スポットとして紹介されることが多いです。
小町大路は鎌倉時代にはすでに存在していた道で、かつては幕府高官や有力御家人の屋敷が建ち並ぶ、鎌倉のメインストリート「六大路」の一つでした。北条得宗家の屋敷跡に建つ宝戒寺や比企一族の屋敷跡に建つ妙本寺など、今でも多くの寺院や神社が残っていて、往時の名残を見ることができます。
現在の鶴岡八幡宮の前身である由比若宮(現在の元八幡)も、この小町大路からほど近い場所にあります。
若宮大路は小町大路よりあとに整備されていった道で、三つの大きな鳥居に象徴されるように、古都の大参道としての風格を感じられます。
全国的にもめずらしい構造の 段葛
若宮大路の二の鳥居と三の鳥居の間は、中央に一段高くなっている土手のような道があり、「段葛」と呼ばれています。全国的にもめずらしい構造の道です。
源頼朝が、妻・北条政子の安産を祈って造られたとも、海に近いためまわりが湿地帯で歩きにくかったため築いたとも、言われています。
以前は一の鳥居から続いていましたが、津波などの災害や、明治時代の横須賀線の建設などによって一の鳥居から二の鳥居のあいだは失われていきました。
段葛は、三の鳥居に向かって徐々に道幅が狭くなるように造られていて、遠近法によって実際の距離よりも長く見えるようになっています。これは、海側から攻め込まれた際の防御上の工夫です。
一度は歩いてみることをオススメしますが、通り沿いのお店にはアクセスしにくいことにご注意ください。(何か所か両側の歩道にアクセスできるような場所は用意されています)
鎌倉駅から鶴岡八幡宮を往復する場合、行きは若宮大路の両側のお店を観察しながら段葛を歩いて、帰りに寄り道するのが良いかもしれません。
段葛は鎌倉屈指の桜の名所
段葛では、2015年11月から2016年2月にかけて、「平成の大改修」が行われました。およそ100年ぶりとされる今回の大改修では、近世以前の路面を保護するため、さらにかさ上げされ、路面が舗装されました。
段葛両脇の桜並木も177本の桜の植え替えをし、全面的に若返りを果たしました。
この段葛の桜並木には灯籠型のライトが並んでいて、夜はライトアップされます。桜が満開の時期には、最高の夜桜スポットになります。鎌倉では桜がライトアップされるイベントはそれほど多くありませんが、段葛の桜並木は毎年必ず夜桜をたのしめる夜桜の定番スポットでもあります。
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新緑とのコラボが美しい段葛のツツジ
段葛には、桜並木の下にツツジが植えられています。桜の季節に注目が集まりがちな段葛ですが、桜の開花と入れ替わるように、ツツジが長い参道を彩ります。ツツジと新緑のコントラストが美しいこの季節の段葛も、桜の季節に負けず劣らずおすすめです。