横須賀のパワースポットと言えば、神話の時代にまでその歴史をさかのぼることができる走水神社が最強でしょう。走水神社ほどキャッチーなエピソードはありませんが、安房口神社も負けず劣らず荘厳な空気に包まれているパワースポットです。むしろ、原始的な神社の形式を留めている分、安房口神社のほうが強いパワーを帯びているかもしれません。
これらの他にも、恋愛成就のパワースポットとして有名な叶神社や、学問の神様・菅原道真を祀る久里浜天神社など、横須賀(横須賀市)には定番と言えるパワースポットも少なくありません。辰年の2024年は、龍にまつわる神社・仏閣も運気を高めるうえでは欠かせません。
この特集では、そんな横須賀のパワースポットの中から、厳選した10スポットをご紹介します。
マップは、スマートフォンやタブレットでは二本指で操作できます。
INDEX
神話の時代から続くパワースポット
走水神社
走水神社は、東京湾が浦賀水道でもっとも狭まるあたりの海峡近くに鎮座する、日本武尊(やまとたけるのみこと)と弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)を御祭神として祀る神社です。走水は、「日本書紀」や「古事記」といった古代の歴史書に現われる、日本武尊の東国征討の伝説が多く残る土地で、走水神社にもその逸話が残されています。
日本武尊は房総半島へ渡る前に、その準備のためにしばらく走水に滞在しました。その際、慕ってくれた村人に自分の冠を与え、その村人が冠を石櫃に納めて土中に埋めて、その上に社を建てたのが走水神社のはじまりと伝えられています。
走水神社には、日本武尊の妃・弟橘媛命の伝説も残されています。海上に出た日本武尊らは暴風に遭い進む戻ることもできなくなりますが、弟橘媛命が海に身を投じたところ暴風は静まり、日本武尊は無事に房総半島にたどり着くことができたと言います。その数日後、弟橘媛命の櫛が海岸に流れ着き、それを走水の岬に埋め、橘神社として祀りました。この橘神社は、明治末に走水神社に合祀されました。
このように走水神社は、神話の世界の舞台となった強力なパワースポットなのです。
古来より走水の地に鎮座している走水神社には、海上交通の要衝として、「海」や「水」にまつわる記念碑や逸話が多く残されていることも特徴の一つです。「水の神様」と言われることもある龍神様にも通じるところがあります。
●住所
横須賀市走水2-12-5
●拝観料
無料(志納)
●公共交通機関
京急線「横須賀中央駅」「馬堀海岸駅」、JR横須賀線「横須賀駅」より京急バス「観音崎(走水経由)」行きで『走水神社』下車、徒歩約1分
●駐車場
あり
三浦半島のその他の龍神パワースポット
海南神社
森戸神社(森戸大明神)
安房口神社
走水神社のような神話の世界のエピソードが残っているわけではありませんが、安房口神社も走水神社に負けない強力なパワースポットです。古東海道(律令時代の畿内から常陸国に至る官道で、相模国と上総国の間は、鎌倉、逗子、葉山から三浦半島を東西に横断して、走水付近より海路で房総半島に渡るというルートだったと考えられています)の道筋上にあるという点で、安房口神社と走水神社は共通点もあります。
現在の安房口神社は、湘南山手の住宅地に取り囲まれていますが、鎮守の杜は大切に残されています。
安房口神社は、社殿を持たず、霊石を御神体とするめずらしい神社です。これは、日本に古くからある磐座信仰という自然崇拝(アニミズム)の一種で、石に宿る神を仰ぐと言うものです。
このような古代の神道の形式を留めている場所は三浦半島でもめずらしく、観光地化されたパワースポットとは明らかに違う、生々しさがあります。
三浦半島最古の神社ともされる安房口神社(諸説あり)は、中世にはすでにパワースポットとして有名だったようです。三浦半島を本拠地としていた三浦一族は航海の神として信仰し、源頼朝や北条義時は必勝祈願に、北条政子は安産祈願に参拝したという言い伝えが残っています。
●住所
横須賀市吉井3-11
●拝観料
無料(志納)
●公共交通機関
京急久里浜線「京急久里浜駅」またはJR横須賀線「久里浜駅」より京急バス「湘南山手」行きで『安房口神社』下車すぐ
●駐車場
なし
龍にまつわるパワースポット
龍塚(武山不動)
武山は、灯台がなかった時代には、並び立っている三浦富士とともに浦賀水道を航行する船の目印になっていました。そのため、武山の山頂にある武山不動院は、航海安全を祈願する不動尊として古くから親しまれてきました。
武山不動院から少し離れた場所に、武山不動院の山号「龍塚山」のもとになった龍塚があります。
江戸時代の享保年間、日照りが続いて村人たちが水不足で困窮していたときに、水を求めていた大きな蛇が武山不動院の下で力尽きて死んでしまいました。それを哀れに思った村人たちが、あまりにも大きいため蛇の首だけ切って埋葬したのが龍塚だと言われています。
昔は、大きな蛇のことを龍と言ったそうです。また、古来より、蛇は龍の化身(またはその逆も)ともされてきました。
龍塚のまわりは主要なハイキングコースから外れているため人通りもなく、木々がうっそうと茂った薄暗い場所です。この龍塚も、観光地化されずに、古くからの趣を留めた三浦半島に残る神聖な場所の一つです。
●住所
横須賀市武1-3040
●拝観料
無料(志納)
●公共交通機関
津久井浜駅・京急長沢駅方面から
京急久里浜線「津久井浜駅」から津久井浜観光農園経由で、徒歩約1時間30分
京急久里浜線「京急長沢駅」または「津久井浜駅」から砲台山・三浦富士経由で、徒歩約2時間
一騎塚方面から
京急線「横須賀中央駅」、JR横須賀線「横須賀駅」から京急バス「長井」行き、「三崎口駅」行きなどの長井方面行きバスに乗車して『一騎塚』下車、バス停から徒歩約45分
●駐車場
なし
雷神社
雷神社(かみなりじんじゃ/いかづちじんじゃ)は、横須賀・追浜にある、火雷神を主祭神とする神社です。御神木の大イチョウは、晩秋には雷光のように、空高く輝いて見えます。
古来より、雷や雷鳴は龍の鳴き声であると信じられてきました。また、竜巻は、その形状はもとより、龍が雲を呼び、天に昇り、雨を降らすという信仰もその名称のもとになっていると言われています。
雷神社には、気象災害除けや身代わり守護などの、さまざまな事故や災難から身を守ってくれるご利益があるとされています。全国的にもめずらしい、気象パワースポットの神社です。
●住所
横須賀市追浜本町1ー9
●拝観料
無料(志納)
●駐車場
なし
●公共交通機関
京急線「追浜駅」より徒歩約5分
西叶神社
西叶神社(西岸 叶神社)の社殿は、江戸時代後期の1837年(天保8年)に焼失して、1842(天保13年)に再建されました。本殿、弊殿は総檜造りで、社殿の内外には、龍をはじめ、見事な彫刻で飾られています。横須賀・三浦でもっとも見ごたえのある神社建築の一つです。
この彫刻は、「安房の三名工」の一人と称される宮彫り師・後藤義光(後藤利兵衛光定)の手によるもので、義光の青年期の代表作とされています。
このときの社殿の再建にはおよそ三千両(現在の価値で3億円以上。1両=10万円換算による)を要したと言われ、江戸時代後期の浦賀の繁栄ぶりが伝わってきます。
●住所
横須賀市西浦賀1-1-13
●拝観料
無料(志納)
●公共交通機関
浦賀駅から徒歩の場合
京急線「浦賀駅」より徒歩約18分
浦賀駅からバス利用の場合
京急線「浦賀駅」より京急バス「京急久里浜駅(紺屋町・高坂経由もしくは千代ヶ崎・開国橋経由)」行きまたは「JR久里浜駅」行きバスに乗車して『紺屋町』下車、徒歩約1分
久里浜駅方面からバス利用の場合
京急久里浜線「京急久里浜駅」またはJR横須賀線「久里浜駅」より京急バス「浦賀駅(高坂・紺屋町経由もしくは開国橋・千代ヶ崎経由)」行きバスに乗車して『紺屋町』下車、徒歩約1分(JR横須賀線「久里浜駅」からのバスは本数が少ないため「京急久里浜駅」からの乗車を推奨)
東叶神社から浦賀の渡し(渡船)利用の場合
徒歩と東渡船場から西渡船場の航路で約10分(渡船の待ち時間含まず)
●駐車場
あり
横須賀の定番パワースポット
東叶神社
浦賀には正式名称が「叶神社」という名前の神社が二社、浦賀湾を挟んで向かい合うように鎮座しています。それぞれ、西浦賀と東浦賀にありますので、通称「西叶神社(西岸 叶神社)」「東叶神社(東岸 叶神社)」と呼び分けています。
両社の近くには浦賀の渡しの渡船場があって、浦賀湾を迂回することなく、渡船でショートカットすることができます。
西叶神社で授かった勾玉を東叶神社の御守り袋に納めて完成させる御守りは、恋愛などの良縁に恵まれるご利益があると言うパワーアイテムとして人気になっています。
これは平成に入ってからの新しい習わしですが、「叶神社」自体、源頼朝による源氏再興の願いが叶ったことが創建の由来ですし、東叶神社の裏山にある恵仁志坂(えにしざか)と産霊坂(むすびざか)は、えにし(縁)があってむす(結)ばれるという古くからのパワースポットです。
また、この裏山には、徳川家康を祀る東照宮が鎮座しています。家康は浦賀で本格的な国際貿易をはじめようとしていましたが、その夢は志半ばでついえてしまいました。東叶神社は、そんな家康の見果てぬ夢が宿るパワースポットでもあります。
●住所
横須賀市東浦賀2-21-25
●拝観料
無料(志納)
●公共交通機関
バス利用の場合
京急線「浦賀駅」より京急バス「観音崎)」行きまたは「かもめ団地」行きで『新町』下車、徒歩約7分
徒歩の場合
京急線「浦賀駅」より徒歩約20分
西叶神社から浦賀の渡し(渡船)利用の場合
徒歩と西渡船場から東渡船場の航路で約10分(渡船の待ち時間含まず)
●駐車場
あり
久里浜天神社
久里浜天神社は、学問の神様として親しまれている菅原道真を祀る神社です。菅原道真を主祭神として祀り、神職が常駐している神社は、鎌倉以南の三浦半島では久里浜天神社が唯一です。
久里浜天神社の鳥居をくぐるとすぐ右手で迎えてくれるのが、「牛乗り天神像」です。菅原道真を祀る神社には「御神牛」として牛の像が鎮座していることがありますが、菅原道真が牛に乗っている像というのはとてもめずらしいです。
久里浜天神社では、受験祈願や学業成就などの他に、自分の身体の悪い場所と同じ「牛乗り天神像」の牛の部位を撫でると治ると言うご利益があるとされています。ぼけ封じのご利益もあるとされていることから、久里浜天神社は若者から年配の方まで幅広い世代に親しまれている神社です。
●住所
横須賀市久里浜5-19-3
●拝観料
無料(志納)
●公共交通機関
京急久里浜線「京急久里浜駅」より徒歩約7分
JR横須賀線「久里浜駅」より徒歩約10分
●駐車場
あり
三浦半島のその他の菅原道真を祀る神社
佐島天神社(天満宮)
大津諏訪神社
鴨居八幡神社
荏柄天神社
記念艦三笠
三笠は旧日本海軍の戦艦で、1902年(明治35年)にイギリスで竣工されました。東郷平八郎が率いる連合艦隊の旗艦として、日露戦争の日本海海戦でロシア海軍のバルチック艦隊と戦い、歴史的勝利を収めた活躍で有名です。
1925年(大正14年)には記念艦として横須賀で保存されることが決まり、翌年、大正天皇皇太子(昭和天皇)や東郷平八郎、日露戦争当時の戦艦「三笠」の乗組員などが参列するなか、記念式典が行われました。
日露戦争で日本を勝利に導いた「三笠」は、この船自体が勝負運や開運のパワースポットであると言えます。それだけに、展示品も含めて、艦内にはさまざまな由緒のある品や場所が残されています。そのような中とくにパワーを宿しているのが、艦内神社の三笠神社、東郷平八郎元帥の遺髪、そして、現役時代の戦艦「三笠」の艦長室にも祀られていた筥崎宮敵国降伏御守護の神札が安置されている神棚です。
筥崎宮とは、現在の福岡県福岡市東区に鎮座する神社で、鎌倉時代にモンゴル帝国に攻められた元寇(蒙古襲来)の際に、亀山上皇が「敵国降伏」を祈願して御宸筆(天皇の自筆)を納められたという神社です。この「敵国降伏」とは、武力で相手を降伏させるのではなく、徳の力をもって導き、相手が自ずからなびき降伏するというあり方を説いたものだと言います。
●住所
横須賀市稲岡町82-19
●拝観料
記念艦三笠は大人600円、シニア(65歳以上)500円、高校生300円、中学生以下無料、障がい者200円(介護者2人まで)
※三笠公園は入園無料
●公共交通機関
京急線「横須賀中央駅」より徒歩約15分
●駐車場
あり(有料)
秋谷の立石(立石公園)
立石公園は、横須賀の秋谷にある相模湾に面した公園です。「立石」とは波打ち際に立つ巨岩のことで、高さ約12m、周囲約30mあります。この「立石」は、「秋谷の立石」として「かながわの景勝50選」の一つに選ばれていて、人気の景勝地です。
歌川広重(安藤広重)の浮世絵『相州三浦秋屋の里』にも描かれている立石は、古くから景勝地として知られていました。もちろん今でもたくさんの画家や写真家に愛され、多くの観光客が訪れます。
海底から隆起してこのような奇岩が生まれたのか、小島が削られてできあがったのかよく分かりませんが、いずれにしても自然の力を感じさせてくれるパワースポットです。
●住所
横須賀市秋谷3-5
●入園料
無料
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」または京急逗子線「逗子・葉山駅」より、京急バス「長井」行き、「横須賀市民病院」行き、「佐島マリーナ入口」行きなどの秋谷方面行きにて『立石』下車
●駐車場
あり(無料)※県営立石駐車場
三浦半島のその他の奇岩パワースポット
馬の背洞門(城ヶ島)
長者ヶ崎
子産石
秋谷の立石からほど近い場所には、子産石と呼ばれるパワーストーンがあります。古来より、秋谷の久留和海岸には子を産みだす石があるとされてきました。その象徴として、直径1mほどの丸い石が、国道134号沿いに祀られています。この子産石を撫でた手で自分のおなかをさすると、子に恵まれるとか、安産になるという言い伝えがあります。
●住所
横須賀市秋谷5290番地
●拝観料
無料
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」または京急逗子線「逗子・葉山駅」より、京急バス「長井」行き、「横須賀市民病院」行き、「佐島マリーナ入口」行きなどの秋谷方面行きにて『子産石』下車
●駐車場
なし
三浦半島のその他の安産祈願パワースポット
海南神社
十二所神社(三浦十二天)
帯解地蔵尊(帯解子安地蔵)
淡島神社
大巧寺(おんめさま)