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お塔の窪やぐら群 | 番場ヶ谷山中に残る北条高時の墳墓と伝わる横穴群

お塔の窪やぐら(撮影日:2024.12.18) 鎌倉
お塔の窪やぐら(撮影日:2024.12.18)

お塔の窪やぐら群は、1333年(元弘3年)の新田義貞らによる鎌倉攻めで敗死した、鎌倉幕府第14代執権・北条高時を供養したものと伝わる、3穴からなるやぐら(主に中世に造られた横穴式の墳墓または供養の場)群です。
鎌倉・十二所光触寺付近から天園方面に向かって南北にのびる、番場ヶ谷の支谷の一つに位置しています。

お塔の窪やぐら群・外観(撮影日:2024.12.18)
お塔の窪やぐら群・外観(撮影日:2024.12.18)
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北条高時が供養されているお塔の窪やぐら

三方を山、一方を海で囲まれた鎌倉を、後醍醐天皇方の新田義貞の軍勢に攻略されると、圧倒的に兵力が少ない北条高時率いる幕府勢は敗れ、鎌倉幕府は滅亡しました。
このとき、北条高時北条一門は、彼らの菩提寺である東勝寺で自害した言われています。

お塔の窪やぐら群には、その北条高時が供養されているとされています。
中心となるやぐらには、中央に五輪塔と、その周囲に十数基の石塔が配されています。

お塔の窪やぐら(アップ)(撮影日:2024.12.18)
お塔の窪やぐら(アップ)(撮影日:2024.12.18)
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周辺一帯で見られる鎌倉幕府滅亡時の伝承

北条高時が自害した東勝寺跡の裏山にある北条高時腹切りやぐらなど、北条高時の墓北条高時を供養するやぐらと伝わる場所は、鎌倉に複数存在しています。
鎌倉幕府の最高指導者であった北条高時の亡き骸が朝廷方に渡るのを防ぐために、山中に隠したとする伝承もあり、お塔の窪やぐら群もその一つです。

江戸時代後期に成立した地誌「新編相模国風土記稿」では、北条高時の首塚光触寺の北側にある牛蒡ヶ谷ごぼうがやつ巌窟(やぐら)にあると紹介されています。同書によると、牛蒡ヶ谷十二所にある光触寺の北側の谷戸で、番場ヶ谷とは隣り合っている谷戸を指していると考えられます。
この北条高時の首塚は、現在、北条首やぐらと呼ばれているものであるとみられ、お塔の窪やぐら群から丘を隔てた南側に位置しています。

このあたりには、他にも、北条高時らの首を埋葬する場所を導いたとされる貝吹地蔵の伝説が残されているなど、鎌倉幕府滅亡時に、なんらかのかたちで北条高時北条一門の亡き骸を匿い、供養する場であったことは間違いないのでしょう。

お塔の窪やぐら群・石仏(撮影日:2024.12.18)
お塔の窪やぐら群・石仏(撮影日:2024.12.18)
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お塔の窪やぐら群への行き方

お塔の窪やぐら群への行き方は、主に二通りあります。鎌倉屈指の隠れ紅葉スポット紅葉ヶ淵に近いため、その行き方と重複します。
距離的にも分かりやすさという点でも、後者の、天園ハイキングコース天園~瑞泉寺間から下るルートのほうがおすすめです。

1. 金沢街道沿いの十二所から天園ハイキングコースに登るルート

番場ヶ谷・吉沢川の渓流沿いの道への入口付近(撮影日:2024.12.18)
番場ヶ谷・吉沢川の渓流沿いの道への入口付近(撮影日:2024.12.18)

金沢街道(県道204号金沢鎌倉線)沿いの十二所から天園ハイキングコースに登るルートは、十二所神社バス停を起点にすると良いでしょう。

十二所神社バス停から金沢街道を少し鎌倉駅寄りに行った場所に、滑川吉沢川の合流地点があります。金沢街道からそれて、この吉沢川沿いに続く道に入ります。すぐに、左側に吉沢川を渡る御坊橋が見えてきますので、これを渡ります。
道なりに進むと、左側に瑞泉寺近くで天園ハイキングコースに合流するルートの入口がありますが、ここには入らず、さらに直進します。
しばらく歩くと人家が途絶え、舗装路の終端に着きます。ここから吉沢川の渓流沿いの道に入ります。(上の写真の中央奥に進む)

吉沢川の左側に沿って、深い藪道や足元がぬかるんだ道が続きます。ところどころ吉沢川の川底に降りられる脇道もあります。川の流量が少ないときは、川底を行ったほうが歩きやすい場合もあるでしょう。
吉沢川の渓流沿いの道に入って、10分ほど歩けば、谷底が少し開けた地形になっている、紅葉ヶ淵に到着します。番場ヶ谷は、吉沢川の本流にそって北側にのびていますが、そちらには進まず、西側から流れてくる吉沢川の支流沿いの道に入って行きます。しばらく道なりに進むと、右側にお塔の窪やぐら群が見えてきます。

途中、吉沢川の支流を渡る、崩れかけた道や丸太の一本橋があったりしますが、川の流量に問題がなければ、できるだけ危険なポイントは川底に降りて乗り越えたほうが良いでしょう。とくに足元は、一般的なハイキング以上の装備が求められます。

2. 天園ハイキングコースの天園~瑞泉寺間から下るルート

天園ハイキングコース・お塔の窪やぐら群、紅葉ヶ淵、十二所方面分岐(右下、瑞泉寺方面から望む)(撮影日:2024.12.18)
天園ハイキングコース・お塔の窪やぐら群、紅葉ヶ淵、十二所方面分岐(右下、瑞泉寺方面から望む)(撮影日:2024.12.18)

天園ハイキングコース天園瑞泉寺間から十二所方面に下るルートは、分岐点に目立った目印のような場所がありません。しかし、分岐点の場所さえ分かれば、十二所方面からの道より迷うポイントはほとんどありませんので、とくにはじめての方は、こちらから向かう方がおすすめです。

天園瑞泉寺間の目印になるポイントとして、貝吹地蔵(コース脇の山すそに安置)と北条首やぐらの道標(コース上の道の真ん中に置かれた低い石造の道標)があります。お塔の窪やぐら群方面への分岐は、おおよそ、この中間地点にあります。瑞泉寺入口方面から天園方面に登ってきた場合、ハイキングコース本道から右下にそれる道がありますので、ここに入ります。(上の写真を右前方に入る)

すぐに吉沢川の支流沿いを下る道になりますので、川沿いに進んでいきます。道なりにしばらく進めば、左側に、お塔の窪やぐら群が見えてきます。

お塔の窪やぐら群上のモミジの紅葉(撮影日:2024.12.18)
お塔の窪やぐら群上のモミジの紅葉(撮影日:2024.12.18)
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鎌倉・逗子で見られるその他の「やぐら」

天園ハイキングコース周辺

北鎌倉周辺(山ノ内)

源氏山周辺(扇ガ谷)

金沢街道周辺(浄明寺)

逗子周辺

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天園ハイキングコースの見どころ

鎌倉アルプス」とも言われる天園ハイキングコースは、鎌倉市街地の背後にそびえる山々を横断するハイキングコースです。
そのため、鎌倉・二階堂方面や北鎌倉方面の寺院などを行き来するアクセス路としても利用できます。
また、東に進むと、鎌倉市最高峰の大平山天園を経由して、横浜自然観察の森金沢市民の森、横浜市最高峰の大丸山金沢自然公園金沢動物園)などの横浜・金沢区方面に抜けることができます。

鎌倉・二階堂方面

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北鎌倉方面

今泉台方面

DATA

住所 鎌倉市二階堂 ※鎌倉市の資料上は「十二所」
アクセス
行き方

※詳細は本文参照

●十二所方面から
鎌倉駅からバス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉霊園正面前太刀洗」行き、「金沢八景駅」行きで『十二所神社』下車、徒歩約30分

金沢八景駅からバス利用の場合
京急線・金沢シーサイドライン「金沢八景駅」より京急バス「鎌倉駅」行きで、『十二所神社』下車、徒歩約30分

●天園ハイキングコース(天園~瑞泉寺)から
貝吹地蔵と北条首やぐらの道標の間の脇道より、徒歩約5分

駐車場 なし
料金

無料

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