鎌倉の梅の名所と言えば、長谷寺や東慶寺、荏柄天神社などの、寺社が定番です。
長谷寺では開花時期にあわせて「梅まつり」が開催され、期間限定で夜間ライトアップも実施されます。東慶寺の梅林は、かつて尼寺だった面影を残すような、しとやかさが魅力的です。
梅の花は、荏柄天神社が祀る「学問の神様」菅原道真も好んだと言われていて、受験シーズンに開花する縁起の良い花でもあります。
寺社以外では、十二所果樹園が、鎌倉最大の梅林であり、鎌倉の梅の名所の穴場でもあります。
比較的公共交通でのアクセスがしやすく、他の鎌倉の見どころとあわせてめぐりやすい鶴岡八幡宮周辺では、宝戒寺と英勝寺が梅の名所として挙げられます。
宝戒寺は2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公・北条義時の屋敷跡に建てられたお寺で、英勝寺は2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の主人公・徳川家康の側室・お勝の方(ドラマには登場しませんでした)が開いたお寺で、ともに大河ドラマゆかりの地と言えます。
鎌倉の梅の見ごろの時期は例年1月下旬から3月中旬ごろと、首都圏の標準的な見ごろと一緒です。1月上旬現在、2024年の梅の開花は、例年より少し早い時期が見込まれています。
梅の種類によって開花時期に開きがありますが、長谷寺や浄妙寺などの、いろいろな種類の梅が見られるお寺では、この時期に行けばたいてい何かしらの花が咲いています。
まだまだ寒い日が続く時期ですが、梅の花や香りで、少し早い春の訪れを楽しんでください。
マップは、スマートフォンやタブレットでは二本指で操作できます。
INDEX
長谷寺
鎌倉を代表するあじさいの寺として有名な長谷寺ですが、1年中花を楽しめるお寺です。とくに梅は、いろいろな品種が植えられていて、1月ごろの黄色いロウバイや黄梅からはじまって、2月から3月にかけては白梅や紅梅、ピンク色の枝垂れ梅などが、時期をずらして開花していきます。
あじさいの時期ほど混まないので、お花を愛でながら、ゆっくりと長谷寺の境内をお参りするのには、よい季節です。
●住所
鎌倉市長谷3-11-2
●拝観料
大人400円
小学生200円
※「観音ミュージアム」の入館は別料金。
※あじさいの季節にあじさい路に入る場合は別途「あじさい鑑賞券」の購入が必要。
●駐車場
あり(有料)
●公共交通機関
徒歩の場合
江ノ電「長谷駅」より徒歩約5分
バス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、江ノ電バス「藤沢駅南口(富士見ヶ丘経由)」、「七里ヶ浜」行きなど、京急バス「鎌倉山」行き、「大船駅東口(ルミネ下)」行きなどの、いずれも「大仏方面」行きで、『長谷観音』下車徒歩約3分
周辺の見どころ
鎌倉大仏殿高徳院
御霊神社(権五郎神社)
成就院
円覚寺
円覚寺では、山門や選仏場、仏殿横と続く参道沿いなどで梅を見られます。梅の季節の円覚寺は、人気の紅葉や桜の季節と比べて参拝客も落ち着いているわりには見どころも多く、穴場の季節と言えます。
円覚寺の梅は、龍隠庵や正続院など、山内に点在している塔頭でも多く見られます(塔頭は、常時公開されているお寺、期間限定で公開されるお寺、非公開のお寺があります)。
●住所
鎌倉市山ノ内409
●拝観料
大人 500円(高校生以上)
子ども 200円(小中学生)
●駐車場
なし ※団体バス専用駐車スペースのみあり(当日予約制)
●公共交通機関
北鎌倉駅から徒歩の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン「北鎌倉駅」より徒歩約1分
鎌倉駅からバス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、江ノ電バス「大船駅」行き、「上大岡駅」行き、「本郷台駅」行きで『北鎌倉駅』下車徒歩約1分
周辺の見どころ
北鎌倉古民家ミュージアム
東慶寺
北鎌倉の東慶寺では、山門から本堂に向かう参道沿いが見事な梅林になっています。江戸時代までは女性のための縁切寺だったこともあり、東慶寺の梅林は、しとやかさの中にも力強さを感じさせてくれます。
東慶寺の開山は、鎌倉幕府第8代執権・北条時宗の正室であり第9代執権・北条貞時の母だった覚山尼という、北条得宗家ゆかりの寺院です。
●住所
鎌倉市山ノ内1367
●拝観料
無料(志納)
●駐車場
なし(近隣にコインパーキングあり)
●公共交通機関
北鎌倉駅から徒歩の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン「北鎌倉駅」より徒歩約4分
鎌倉駅からバス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅」より、江ノ電バス「大船駅」行き、「上大岡駅」行き、「本郷台駅」行きで『明月院』または『北鎌倉』下車徒歩約4分
英勝寺
英勝寺は、江戸幕府初代将軍・徳川家康の側室・お勝の方が開いた、鎌倉に現存する唯一の尼寺です。東慶寺が明治時代に入って尼寺ではなくなった後も、英勝寺の尼寺の歴史は今に至るまで続いています。
英勝寺の境内では、梅やツバキ、あじさいなど、四季折々の花を楽しめます。通用門の前には現在境内で見ごろの花々の案内が掲示されていて、このような心遣いも尼寺ならではと言えるのではないでしょうか。
梅の花の咲く、山門や仏殿周辺では、江戸時代前期の同じ時期に建てられた建築群がそのまま残っていて、国の重要文化財に指定されています。
●住所
鎌倉市扇ガ谷1-16-3
●拝観料
大人300円
高校生200円
中学生以下100円
●駐車場
なし
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(西口)」より徒歩約15分
海蔵寺
海蔵寺は、鎌倉・扇ガ谷の谷戸の奥に位置する、扇谷上杉家ゆかりの寺院です。
一年中境内に花が途絶えないことから「花の寺」と呼ばれたり、山門の前に鎌倉十井の一つ「底脱の井」が、境内の外れの岩窟には「十六の井」があることから「水の寺」と呼ばれたりしています。
例年、2月中旬になると、海蔵寺の境内では徐々に梅が開花しだします。山門から入ってすぐ左手にある枝垂れ梅は、枝ぶりも雄大で、花をつかせるととても見ごたえがあります。
●住所
鎌倉市扇ガ谷4-18-8
●拝観料
無料(志納)※十六の井拝観料:100円
●駐車場
あり
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(西口)」より、徒歩約20分
周辺の見どころ
仮粧坂(化粧坂切通し)
源氏山公園
安国論寺
安国論寺は、鎌倉時代の中頃に、日蓮宗(法華宗)の宗祖である日蓮が、鎌倉で布教を開始した際に草庵を結んだ場所に建てられた寺院です。日蓮はこの地で、自身の代表著作となる「立正安国論」を執筆したと言われています。
安国論寺の花と言えばサザンカや妙法桜、しだれ桜が有名ですが、紅梅も見ごたえがあります。
また、梅の花ではありませんが、2023年は6月に「梅の実収穫&梅干し作り体験会」が開催されました。
●住所
鎌倉市大町4-4-18
●拝観料
一般拝観 100円
特別拝観 500円(45分) ※案内付拝観(宝物や非公開の所も含む)、5名以上で要事前予約
●駐車場
なし
●公共交通機関
徒歩の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約18分
バス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「緑ヶ丘入口」行きで『名越』下車徒歩約3分
大巧寺(おんめさま)
大巧寺は、鎌倉駅東口の、鶴岡八幡宮・二の鳥居近くに建つ寺院です。現在の鎌倉のメインストリートの一つ、若宮大路沿いに山門がありますが、こちらは裏門で、正門は反対側の小町大路側にあります。
駅近のビルの谷間にある境内のお庭では、四季折々の花をたのしませてくれます。とても多くの品種が丁寧に育てられていて、駅近の隠れた花の名所でもあります。
冬から初春にかけては、椿や梅などの花が見られます。その名前に反してバラ科の花ではありますが、本堂と庫裏の前で咲く可憐な利休梅も見どころの一つです。
●住所
鎌倉市小町1-9-28
●拝観料
無料(志納)
●駐車場
あり
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、徒歩約3分
妙本寺
妙本寺の広い境内にはロウバイや梅の木が多く植えられています。例年、1月からロウバイが咲きはじめ、紅梅、白梅と、3月にかけて初春の花を楽しめます。
●住所
鎌倉市大町1-15-1
●拝観料
無料(志納)
●駐車場
あり
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約8分
周辺の見どころ
本覚寺
宝戒寺
萩の寺として知られる宝戒寺は、梅の名所としても知られています。とくに、本堂の正面の、1本の木から紅と白の花が咲く品種「思いの儘(おもいのまま)」は見ごたえがあります。
宝戒寺がある場所は、鎌倉幕府第2代執権・北条義時以来、北条得宗家が代々屋敷を構えた土地にあります。宝戒寺は、このような場所に、鎌倉幕府滅亡とともに、この地の近くにあった東勝寺(廃寺)で滅亡した北条一族の霊を弔うために、後醍醐天皇の命を受けた足利尊氏によって建立された寺院です。
●住所
鎌倉市小町3-5-22
●拝観料
大人(高校生以上)300円
中学生200円
小学生100円
●駐車場
なし(近隣にコインパーキングあり)
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約12分
または、JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉霊園正面前太刀洗」行き、「金沢八景駅」行き、「ハイランド」行き、「鎌倉宮(大塔宮) 」行きで『大学前』下車徒歩約2分
鶴岡八幡宮
鶴岡八幡宮には梅の木がそれほど多いわけではありませんが、白旗神社前や神苑ぼたん庭園入口(流鏑馬馬場側)前などで見られます。梅の開花時期の鶴岡八幡宮の花の主役は正月ぼたん(冬ぼたん)で、梅はわき役と言った感じです。
●住所
鎌倉市雪ノ下2-1-31
●拝観料
無料(志納)
●駐車場
あり(有料)※大型バスのみ事前予約可能
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、徒歩約10分
※混雑を避けたい場合は、「鎌倉駅(西口)」より、今小路、横大路経由で、徒歩約15分
荏柄天神社
荏柄天神社は、「学問の神様」として親しまれている菅原道真を祀る神社です。菅原道真は梅の花をこよなく愛したと言われていて、道真を祀る天満宮では定番の花です。
梅の開花の時期は、ちょうど受験シーズンと重なるため、受験生やその家族にエールを送ってくれているように感じられます。
●住所
鎌倉市二階堂74
●拝観料
無料(志納)
●駐車場
なし(近隣にコインパーキングあり)
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉宮(大塔宮) 」行きで『天神前』下車、徒歩約3分
または、JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約20分
周辺の見どころ
北条義時法華堂(北条義時の墓)
源頼朝法華堂(源頼朝の墓)
鎌倉宮(大塔宮)
手水舎横の「将軍梅」は、鎌倉宮の御祭神・護良親王の弟・懐良親王お手植えの梅から実生したと伝わるものです。懐良親王は幼いころに征西大将軍に任命されたため、九州を拠点としていました。この「将軍梅」も、九州・八代から移植されたものです。
鎌倉宮では、梅の開花時期にあわせて、河津桜も見ごろを迎えます。
●住所
鎌倉市二階堂154
●拝観料
無料(志納)
●駐車場
あり
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉宮(大塔宮) 」行きで終点下車
または、JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約25分
瑞泉寺
瑞泉寺には、拝観受付近くと、本堂の前に、2つの梅林があります。瑞泉寺には梅の見どころが多いのですが、老木が多いためか、花の付き方にあまり勢いは感じられません。この控えめに咲くところが、禅寺の古刹の雰囲気に合ってもいます。
そんな中でひときわ華やかなのが、本堂横に立つ立派な枝垂れ梅です。例年2月中頃に見ごろを迎えると、無数のピンク色の花がシャワーのように降り注ぎます。
●住所
鎌倉市二階堂710
●拝観料
大人200円
小中学生100円
●駐車場
あり
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉宮(大塔宮) 」行きで終点『大塔宮』下車徒歩約15分
または、JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約40分
浄妙寺
浄明寺は、鎌倉の中心地・鶴岡八幡宮方面から、朝比奈峠を越えて、かつて鎌倉の外港として栄えた六浦港があった金沢八景駅方面へ続く、金沢街道沿い屈指の花の名所です。
手入れの行き届いた庭園では、ロウバイや紅白の梅が早い春の訪れを告げてくれます。
●住所
鎌倉市浄明寺3-8-31
●拝観料
大人(中学生以上)100円
小学生50円
●駐車場
あり(有料)
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉霊園正門前太刀洗 」行き、「金沢八景駅」行き、「ハイランド」行きで『』下車、徒歩約3分
または、JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約30分
十二所果樹園
十二所果樹園は、約400本の梅の木が植えられている、鎌倉最大の梅林です。そのほとんどが白梅で、白梅の名所として知られています。
十二所果樹園は観光のための果樹園ではなく、緑地保全を目的とした果樹園です。
寺社に多い鎌倉の梅の名所にあって、里山で見られるめずらしい場所です。
アクセスがあまり良くないこともあり、穴場的な存在と言えます。朝夷奈切通(朝比奈切通し)周辺や、逗子の久木大池公園と結ばれているやまなみルートとあわせて、ハイキングとして訪れるのがオススメです。
●住所
鎌倉市十二所
●入園料
無料
●駐車場
なし
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉霊園正面前太刀洗」行き、「金沢八景駅」行きで『十二所神社』下車、徒歩約20分